戻る

司教様説教
 兄弟の皆さん,新しい司祭が誕生しようとしています。アントニオチプリアーニとアルバロチャベス。司祭の誕生は教会への神様の特別のお恵み,贈り物であります。これは神様が教会を祝福していらっしゃるしるしでもあります。心から神に感謝いたします。また皆さん,特にこの二人を教会に捧げて下さった家族の皆さん,小教区共同体の皆さんに心から感謝致します。神学院の責任者の皆さん,その共同体に,心からお礼申し上げます。また,祈りと諸々のご援助をもって彼らの準備を助けて下さった多くの方々に心から感謝致します。
 叙階式は,新しい聖霊降臨,ペンテコステだと云われます。あの主の昇天のあと,エルサレムの高間に集まっていた弟子たち,祈りと思い出の中に日々を過ごしていたその五旬祭の日に,突然烈しい風がふいて来るような音が聞こえました。その音は,家中に響き渡りました。そして,炎のような舌が,分かれ分かれて現れて,一人一人の上に留まりました。彼らはみな聖霊に満たされ,霊が語らせるままに,色々の国の言葉で語り始めました。
 司祭に叙階されるお二人,チプリアーニ,アルバロ,あなた達も長い間準備を進めて来ました。厳しい準備を致しました。よく忍耐してくれました。司祭の,ごめんなさい,司教の按手と聖別の祈りによって,今日司祭となり,聖霊に満たされて世界に派遣されてまいります。「全世界に行って,すべての創られたものに福音を宣べ伝えなさい。」主は仰せになった。「如何に美しいことか,山々を行き巡り良い知らせを伝える者の足は。平和を告げ,恵みの良い知らせを伝える者。」
 あなた方お二人は,チプリアーニ,アルバロ,あなた方は二十一世紀の新しい福音宣教者となります。民と人とに主イエズスの福音を告げる勇気と情熱を胸に秘めて出かけて下さい。あなた達のうちに働いておられる聖霊こそは,これからのあなた達の宣教の唯一の力となりましょう。この情熱の火,福音に対する熱情の火は,いつまでも燃え続かなければなりません。いつも聖霊に祈って下さい。祈らなければ,聖霊の火はいつのまにか消えてしまいます。福音の宣教は,昔も今も非常に難しい。現代の物質文明の虜になっている人々に主イエズスの十字架と復活の福音を聞くゆとりが無いのでしょうか。確かにそうです。しかし,この日本にも「まことのいのちの言葉」を待っている人々がいます。少なくありません。どこにでもいらっしゃいます。忘れてはならない事です。彼らは,まことのなぐさめと,励ましと,希望の光を捜し求めているのです。人生の意味と,その喜びを味わいたいと心から願っている・・・まことの水,まことの食べ物を探しながら。
 司祭は,このような人々を一人でも見逃してはならないのです。司祭は,この人たちを探しに行かなければなりません。司祭は,彼らの声無き声を敏感に受け止めなければなりません。これこそ,司祭の心であり,宣教者の役目であり,その為に司祭はこの世に派遣されていくのです。司祭は聖霊に祈る時,彼らの叫びが聞こえます。
 福音宣教は,言葉,真理の言葉の証によって行われます。それだけではありません。宣教する司祭は,主キリストのお顔を見せてあげなければならないのです。福音書に描かれている主キリストのお姿,いつもここに生きておられる憐れみ深いキリストにじかに出会うことが出来るように,彼らを導かなければなりません。
 パパ様は二年三年前に「アジアにおける教会」という特別のお手紙を私たちに送られました。「エクレジア イン アジア」。これは教皇様からのお言葉です。アジアで働く宣教者に向けてのパパ様の言葉。宣教者としての三つの条件をここに挙げてあります。
一つ,祈り。まず第一に「祈ること。宣教者あなた方は神のお声をききなさい,神の御心を見なさい。」第二番目「熱心な奉仕に努めなさい。自分を与えなさい。良い牧者は羊の為に命を捨てるものです。」最後に「模範的な証しを行いなさい。口で語る事をまずあなたが実行いたしなさい。」
私はこの最後に,パパ様がこのおなじ「エクレジア イン アジア」の中にマリア様に向って捧げられたお祈りの一部を皆様に紹介いたします。
「救い主の母,私たちの母マリア,アジアの地に植えられた御子キリストの教会を優しく見守って下さい。アジアにおいて,御子の愛と奉仕の使命を続けている教会の,宣教者の模範,案内者となって下さい。教会の宣教を妨げるあらゆる悪の力から彼らを守って下さい。教会が聖なる三位一体のまことの似姿となるよう助けて下さい。教会の愛と奉仕を通して,アジアのすべての人々が,あなたの御子,世界の唯一の救い主イエズス・キリストを知り,人生の喜びを完全に味わうことができるよう祈って下さい。あなたの子供である私たちのために,今もいつも祈って下さい。アーメン。」